リヴァイアサンに命をささげる異国人―ザ・レジェンド―

 『ザ・レジェンド Outcast 白幽靈傳奇之絶命逃亡』(2014、中加仏、ニコラス・パウエル監督)

 冒頭は『キングダム・オブ・ヘブン』のような荘厳な画風で、十字軍が中東イスラムの都市を侵略して大殺戮を行う。血まみれの戦いの最中、ニコラス・ケイジが「おれ、もう疲れた、東に行くわ」と言いだす。その弟子のヘイデン・クリステンセンが「はあ?訳わかめ」と言って容赦なく攻撃を続行する。しかしクリステンセンは己の行いに慄き、アヘン中毒になりながら東の国へ流れ着く。
 東の国では、暴虐な王子シンがクーデタを起こし、弟に王位を継がせようとしていた父王を殺す。そして玉璽を持って逃げた10歳にしかみえない14歳の王子と14歳くらいにしかみえない年齢不詳のその姉を殺すため追手を送る。追手がついに姉弟を見つけ、西部劇風のバーでピンチになっているところ、さすらいのガンマンのような風体のクリステンセンがアヘンか酒かでふらふらなのに酔拳みたいなアクションでばったばったと追手を倒す。
 そこからは、「おれは中華の王になる」と宣言する王子と姉とさすらいの剣士ともうひとり途中で拾った庶民の女の子が、追手をかわしながら西方の味方になるかもしれないと思われるガオ将軍がいる町を目指す『キングダム』的な話になる。戦いでトラウマを背負ったガイジンが疲れて逃げるように流れ着いたよその国で、戦乱に首を突っ込んで、そこで生きる意味を見つけて、人のために戦うというのは、『ラスト・サムライ』パターンが踏襲されている。そこから色々あってクリステンセンが深傷を負いながら先に逃げた姉弟らを追って山地へ入る。その山にはシンと対立するホワイトゴーストと呼ばれる男が率いるアウトロー集団が砦を築いている。ホワイトゴーストは超非協力的だったのに、最後は未来の王のため命をかけてシン自ら率いる追討軍と戦って仲間もろとも玉砕する。そしてついにシンの軍勢が迫ってくる。ガオ将軍はどうなった?
 この映画、カメラワークがすごくグラグラしていて、高速のソードアクションが見えにくくて、ちょっと油断すると、いま誰が誰に何した?になる。
 劇中、亡き王が認めた後継者を守る、という目的のために多くの人が命を惜しまず戦っている。ホワイトゴースト一味も、はじめは関わりたくなかったが、巻き込まれてシンの攻撃にさらされる。(2022年3月11日投稿より改訂)

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