インド版「君の名は」―マガディーラ勇者転生―

 『マガディーラ 勇者転生 Magadheera』(2009年、印、S・S・ラージャマウリ監督)

 最近流行りの転生もの。転生ものの本家本元インドの作品。日本でも大ヒットした『バーフバリ』の原点とされる。
 1609年、インドのラージャスターンに栄えたウダイガル王国の近衛軍の戦士バイラヴァが王女と恋仲になって追われ矢が刺さって瀕死の状態で崖から落ちて死んでしまう。先に崖から落ちた王女を追ってバイラヴァも淵に飛び込む。そして、落ちながら、王女に追いつく!しかしその手を取ろうとするも空振りに終わり、そのまま落ちていく。ガリレイによれば重いものも軽いものも落下速度は同じというが、じつはそうではない。数学でインドが間違いを犯すはずがない。それより気になるのは人物と背景がZoomみたいな合成感丸出しという点。そのあと眉がつながった鎧の男が、バイラヴァが脱いだ鎧に火をつけ、バイラヴァは400年後転生する、と叫ぶ。
 2009年のハイデラバードに場面が移り、バイクジャンパーのハルシャに生まれ変わったバイラヴァがバイクで疾走する。バイクに乗ったままジャンプして高いところにあるバーを超えようとして、観ている人がお金を賭けてる。その賭博で不正な方法でお金を稼ぐ女がいて、ハイシャら男たちが追いかけて、めんどりがどうしたこうしたという歌に合わせてインド映画ならではの集団ダンスの掛け合いが始まる。
 その後、ハルシャがオートリキシャで雨の中、空港に向かってて、手を窓から出すと、バスを待ってた王女の生まれ変わりの鷲尾いさ子ぽい女子大生インドゥと手がふれ、ビビビッとなる。その女子大生の父親から奪った土地を巡って揉めている叔父の息子(遠目で見ると平井堅似)がラスボスぽい。
 とにかく歌と踊りがネイマールの舐めプ集動画のようにノリノリで楽しい、さすがインド映画。ストーリーとかあってもなくても良いくらい。ハルシャと賭博不正女のボスが『ビーバップハイスクール高校与太郎行進曲』のクライマックスの舞台みたいな火花降り注ぐ金属工場で繰り広げるダンス対決はストーリー的に何のために入れたのか分からなかったが圧巻ですごい好きだ。
 『インフィニット』同様、転生は人間から人間、性別も変わらないが、こっちは顔まで同じ(同じ役者)である。(2022年2月24日投稿より改訂)

『マガディーラ 勇者転生』残り23分まで観る。
 主人公である2009年頃のバイク乗りの若者ハルシャの前世が描かれる。ハルシャの前世は1609年頃のウダイガル王国の勇者バイラヴァ。ヒロインの前世王女ミトラとの悲恋の顛末が描かれ、冒頭の「万有引力」シーンに繋がる。
 バイラヴァの一族は代々ウダイガル王国に仕える1人で百人倒すほどの勇者の家系であった。しかしその家系はみな30歳までに戦などで死んでしまうため、王は娘との結婚を許さない。シヴァ神像の祭壇前で儀式を行えばそのジンクスは避けられるということで、祭壇前でドンドコ太鼓を叩いて儀式をしている。
 そこへ恋敵のラナデーヴがシェールカーンとともに王を殺してクーデターを起こしてやってくる。シェールカーンは百人のサタン軍団を差し向け、伝説通り百人を倒し姫を守ることができたなら王位をバイラヴァにくれてやる、という。バイラヴァがサタン軍を半分くらい倒したところで矢が2本刺さるが、それでも残りを全員倒す。バイラヴァの熱いファイトにシェールカーンは途中から感動して涙しながらひれ伏し、バイラヴァの味方になりかける。ところがラナデーヴが「誓いを破るのか」みたいに非難するとシェールカーンは刀を素手でくの字に折り曲げながら「許せバイラヴァーっ」と叫んでやっぱり味方にはならない。
 ちょうどニュースでインドとロシアの外相会談をやっているのを見たあとこのシーンを観たので、インドでは仲間の誓いというのはそれほどまでに拘束力を持つのか?(2022年4月2日投稿より改訂)

やあ、マガディーラ 勇者転生(字幕版)を観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする

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