出過ぎた杭は打つ気も起こらない―ライズ・オブ・シードラゴン―
『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪 Young Detective Dee: Rise of the Sea Dragon 狄仁傑之神都龍王』(2013年、香港、ツイ・ハーク監督)
これはディテクテヴ・ディー(狄判事)という大ヒットシリーズ中のヒット作だから、何も考えずに楽しむべきものである。原作はロバート・ファン・フューリックRobert van Gulik(蘭1910ー1967)のJudge Dee Mysteryという一連の古典的推理時代小説である。
映画自体はワンチャイのツイ・ハーク監督作品ということでワイヤーアクションも覚悟の上で観る。ここまで突き抜けてしまえばもはや突っ込む気も起こらないという模範を示してくれる。展開が速く、アクションもド派手、かつ画面も綺麗で登場人物も華やかな純エンタメ作品。宣伝で『パイレーツ・オブ・カリビアン』だとか色々形容されているが、私的には最初『ゴジラ』で始まり途中から『Xファイル』になり、『美女と野獣』も混じってくる感じだった。
冒頭、日本の大鎧みたいなの着てる唐の水軍が海中の姿が見えない怪獣みたいなのに壊滅させられ、則天武后が調査を命じる。武后役のカリーナ・ラウ、映画で見たの20年ぶり感慨深い。その怪獣=龍王を鎮めるために都随一の花魁が生贄として龍王廟に花魁道中みたいなパレードしながらやってくる。そこへ謎の白装束集団が襲撃してくる。と同時に福崎町の河童の河太郎みたいなのも水中から飛び出してきて暴れ回る。異変を察知した大理寺の新米刑事である主役狄仁傑が、医者の沙陀忠や大理寺の敏腕刑事尉遅真金とかと一緒に大活躍して事件を解明する…のであろう、きっと。唐の大理寺はこの手の歴史ドラマで警視庁みたいな扱いなのか。狄仁傑は実在の人物とはいえ、かなり史実は曲げられているだろう。沙陀忠は架空の人物で回紇出身と言っていたが、沙陀は突厥の一部族だし、沙陀なんていう姓はあったんだっけ。(2022年2月15日投稿より改訂)
素朴な疑問
則天武后のセリフで「大唐を滅ぼすつもりか」と言うのがあったが、その後の歴史を知るものとしては「どの口?」と思う(武后が皇帝になると周になる)。あとそれに引きずられてか、時代設定唐朝末期みたいに紹介されがち。唐はあと200年は続くのだが。
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