船に天幕を張るな、決して館の中で眠るな―ノース・ウォリアーズ―

 『ノース・ウォリアーズ 魔境の戦い North Warriors』(2014年、瑞・独・南ア、クラウディオ・ファエ監督)

 「船に天幕を張るな、決して館の中で眠るな。敵が来るからだ。ヴァイキングは剣を手に盾の上で眠る。」と超クールなナレーションとともに、船が嵐に巻き込まれるシーンから始まってテンション上がる。
 途中まで観たあらすじ:
 9世紀、北の国(ノルウェー)を統一した王(ハーラル王)の軍に抵抗して父が戦死し、主人公は父の船を受け継ぎ父の家来たちを率いて国を出た。これは貴種流離譚のフォーマットをヴァイキング風にアレンジしてみたものなのか、それとももともとこういうヴァイキングの伝説が存在するのか…。
 さて、主人公たちの船が嵐に遭って難破してスコットランドに漂着、上陸してほぼ直角の崖をみんなでよじ上ると土地の人々がいて戦って倒す。停まってる車の中からお姫様が出てきたのでこれを捕らえ身代金を取ろうと企む。お姫様をつれて進んでいくと森の民の襲撃を受け、仲間が負傷し、キリスト教の司祭みたいなのに助けられてその司祭のすみかの塔に逃げ込む。身代金目的で連れ歩いてるお姫様はじつは現地の王ダンケイドの娘インゲン姫であることが判明し、お姫様は自分をはやく釈放しないとみんな殺されてしまうぞとか言うが、一方で王の家臣は色々企んでなんとお姫様を殺そうと襲撃してくる。ヴァイキング一味は「ヴァルハラ」を目指すとか言ってるが、お姫様の身代金を取るとも言っていて、王様と取引しようとしていて一体何をしたいのか。
 若き長身長髪イケメン主人公が、年上の部下に楯突かれたり、お姫様からもなめられて逃げられそうになったりするが、毅然とかつスマートに乗り切ってリーダーとしての力量を見せていく。お姫様に身代金が目的だから大人しくしていれば危害は加えない、と紳士的なテロリストみたいなことを言ったり、お姫様が自分を殺したら身代金は取れないでしょと見透かすのに対して、殺しはせんが今度は牽制じゃなく矢を当てることもできるぞ、と言ったりする。セリフはハリソン・フォードみたいでもあるが、ルックス的にはディズニー映画のプリンセスとプリンスの掛け合いに近いような気もする。
 『戦神』を観て、倭寇側の視点から描くようなのはないのか、と思っていたら、この映画はたまたまヴァイキングが主人公だったのだが、ヴァイキング映画と言えるのか微妙な気もする。まず、船に乗ってたのは最初だけで、ほとんど陸で戦ってる。まあその点は『戦神』もほとんど陸戦とか市街戦で、最後だけ停泊してる船の中での戦闘だったのだが。タイトルにある魔境的な要素は今のところ見当たらない気がする。司祭が魔法でも使うのか。
(2022年2月12日投稿より一部改訂)

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