ポスト=サイードのSF歴史ファンタジー―アウトランダー―
『アウトランダー OUTLANDER』(2008年、米独、ハワードマケイン監督)
これはTSUTAYA的にはエイリアンものになっているが、とてもそんな簡単に片付けられない問題作である。しかし、似たようなタイトルのドラマや映画があって紛らわしい。検索すると三菱自動車のSUVか英国No. 1イケメン俳優が出てるという同名のドラマばかり出てくる。『アウトランダーズ』とかいうファンタジー映画もあってややこしい。
私が開始30分まで見た『アウトランダー』は、遠い宇宙の果てから一隻の宇宙船が709年のノルウェーに墜落してくるところから始まる。二人いた乗組員の一人が生き残る。完全に地球人の姿だが、言葉は地球のものとは違う。墜落時の衝撃でも壊れなかったかれらのマシンで瞬時に現在地が旧植民候補地だった地球という惑星のノルウェーという場所だと判別される。つまり、地球人はかつて植民してきたかれらの仲間の子孫ということか。
かれらの技術のすごさは、顕微鏡みたいなのを片目に当てると黒目がぐるぐるギューンとなって現地の言葉が使えるようになること。その技術あったら国際学会は楽になって良いなと思うが使うと頭ぐらぐらして鼻血出てたから人体に負担もありそう。語学をネイティブなみにマスターするのにかかるであろう10年単位の情報を1分で詰め込んだら人間はああなってしまうのか。
さてこの生き残った主人公は銃を手にし、何かを追って森へ入る。エイリアンがかれらと同じ宇宙船に乗っていて、もう一人の乗組員を殺して逃げていったからだ。この辺は『プレデター』的な緊迫感。そして何者かによって壊滅した村にたどり着く。たぶんエイリアンの仕業だろう。そこでエイリアンを警戒して銃を構えて周りを伺っていると、突然ひとりのバイキングぽいロン毛に後ろからどつかれ気を失って、そのロン毛の村へ連れていかれる。
ロン毛の村では、さっきの村を襲ったのは何者なのか捕まえた主人公に吐かせようとするが、主人公は不敵な笑みを浮かべて「ドラゴンの仕業さ」とか言うので、またどつかれて、鎖に繋がれてしまう。その夜、ロン毛の村は何者かの襲撃を受けて多くの死傷者がでる。村人たちは、あれはフランクだ、違うルーシだ、いや熊だ、と言い争い、聖職者たちは、賢者の神ミールがヨトゥンヘイムに我々を引きずりおろそうとしているのだ、とか、ルシファーだ、とファンタジー映画ぽい名詞が飛び交う。
これはどういうジャンルの映画なのだろう。最後まで見ずに言うのもなんだが、このようなチャンポン映画を心折れずに最後まで作り上げた製作陣(『ロード・オブ・ザ・リング』作った人たちらしい?)と俳優たちには敬服するほかない。
どうでも良いことだが…主人公が宇宙船の中にいるときからずっと着たままのノースリーブの胸のところにある文字は何と書いているのか、画面がぐらぐらしてずっと読めなかったが、一瞬止まったときに目を凝らして見たら読めない文字だった。おそらくかれらの星の言葉であろう。(2022年3月25日投稿)
追記
続きを見るとロン毛の人々はヘロット族と言っていて、ヘロット・ミード(蜂蜜酒)を主人公に飲ませる。まずっと言っていたが初めて聞いた。売ってるのだろうか。
不覚にも最後まで観てしまった。想像以上にジャンル不明の問題作で、わたしには扱いきれない作品だった。ポストモダン(サイード以後)の作品であることを感じたのは、エイリアンの背景を描き、エイリアンにも配慮していること。
映画『アウトランダー』に出てきたヘロット・ミード、ではないが、ポーランドの蜂蜜酒を京都の蜂蜜専門店ミールミィで見つけて買った。何と書いてあるのか分からない。いまはあんなことになってるからポーランドから蜂蜜酒入荷が遅れてるらしい。映画では最初飲んで、まずっ、最後はベスト・イン・ザ・ワールドと言っていた。
牛乳割りとかアイスにかけるというヤドヴィガ飲んでみた。うま!ほんで甘!
ノルウェーは寒すぎて花咲く時期も短く蜂も死んでしまうから蜂蜜酒は東南部のオスロあたりしか作ってない。しかし、中世温暖化の頃は違ったみたいなこと
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