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師傅、なぜ袈裟はつぎはぎになってるの?―三蔵法師 玄奘の旅路―

  弟子「師傅、なぜ袈裟はつぎはぎになってるの?」 玄奘「仏陀が山で修行中、真四角の田地に心を打たれはって、布切れを洗って清め一枚一枚縫い合わせ、田畑に例え、福田衣と言うたんよ。これを纏った比丘が講経すると天下に豊穣をもたらすんよ。」 んー、日本で田んぼが四角いのはもしかして仏教の教えなのか?このへんのセリフ速すぎて翻訳なしでは聞き取るのむずい。 『三蔵法師 玄奘の旅路 大唐玄奘』(2016年、中印、フオ・ジエンチー監督)より。 尺八みたいな音楽かかって玄奘が涼州に至るところまでいい雰囲気の映画だなーと思って観ていたら、玄奘の背後から逃亡犯みたいなのが門楼の二階くらいの高さから壁ぶち破って飛び降りてきてそれを追捕する役人も飛び降りてきて、カンカンカンカンて剣を交わし、映画『るろうに剣心』ばりの斜めに弧を描いて飛びながらの水平切りを食らわした。孫悟空とか出てこないリアル玄奘映画で物理法則無視したワイヤーアクションすな!(2022年2月13日投稿より一部改訂) その後、最後まで視聴した。そして、この映画、現状ではわが最高評価の歴史映画のひとつと考えている。玄奘の苦難に満ちた壮絶な旅路が描かれるが、終始、抑えのきいた、重厚な主演俳優の好演もあり、エンタメとしての過剰な演出に慣れすぎた鑑賞者にとっては、何だこれは!?映画のセオリーをひっくり返そうというのか、というくらい淡々と時間が流れていくような、諸行無常感のある史劇となっていると思う。 まったく気がつかなかったが、般若心経をもとにしたフェイ・ウォン「心経」も素晴らしい。(2023年2月17日加筆) https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08F2RG71N/ref=atv_dp_share_cu_r

船に天幕を張るな、決して館の中で眠るな―ノース・ウォリアーズ―

  『ノース・ウォリアーズ 魔境の戦い North Warriors』(2014年、瑞・独・南ア、クラウディオ・ファエ監督)  「船に天幕を張るな、決して館の中で眠るな。敵が来るからだ。ヴァイキングは剣を手に盾の上で眠る。」と超クールなナレーションとともに、船が嵐に巻き込まれるシーンから始まってテンション上がる。  途中まで観たあらすじ:  9世紀、北の国(ノルウェー)を統一した王(ハーラル王)の軍に抵抗して父が戦死し、主人公は父の船を受け継ぎ父の家来たちを率いて国を出た。これは貴種流離譚のフォーマットをヴァイキング風にアレンジしてみたものなのか、それとももともとこういうヴァイキングの伝説が存在するのか…。  さて、主人公たちの船が嵐に遭って難破してスコットランドに漂着、上陸してほぼ直角の崖をみんなでよじ上ると土地の人々がいて戦って倒す。停まってる車の中からお姫様が出てきたのでこれを捕らえ身代金を取ろうと企む。お姫様をつれて進んでいくと森の民の襲撃を受け、仲間が負傷し、キリスト教の司祭みたいなのに助けられてその司祭のすみかの塔に逃げ込む。身代金目的で連れ歩いてるお姫様はじつは現地の王ダンケイドの娘インゲン姫であることが判明し、お姫様は自分をはやく釈放しないとみんな殺されてしまうぞとか言うが、一方で王の家臣は色々企んでなんとお姫様を殺そうと襲撃してくる。ヴァイキング一味は「ヴァルハラ」を目指すとか言ってるが、お姫様の身代金を取るとも言っていて、王様と取引しようとしていて一体何をしたいのか。  若き長身長髪イケメン主人公が、年上の部下に楯突かれたり、お姫様からもなめられて逃げられそうになったりするが、毅然とかつスマートに乗り切ってリーダーとしての力量を見せていく。お姫様に身代金が目的だから大人しくしていれば危害は加えない、と紳士的なテロリストみたいなことを言ったり、お姫様が自分を殺したら身代金は取れないでしょと見透かすのに対して、殺しはせんが今度は牽制じゃなく矢を当てることもできるぞ、と言ったりする。セリフはハリソン・フォードみたいでもあるが、ルックス的にはディズニー映画のプリンセスとプリンスの掛け合いに近いような気もする。  『戦神』を観て、倭寇側の視点から描くようなのはないのか、と思っていたら、この映画はたまたまヴァイキングが主人公だったのだが、ヴァイキング...

ロシア映画の蒙古襲来と香港映画の倭寇―フューリアス、戦神―

ロシア映画『フューリアス』と香港映画『戦神』。どちらも超リアルな血みどろ戦闘シーン多めで寝る前に見るべきではない。いまや大国のロシアと中国が、かつてのモンゴル帝国や戦国日本の出先程度の勢力に圧迫されて苦しんでいたんだぞという話なわけだが、いったいどっちに感情移入して観たら良いのだろう。 『フューリアス 双剣の戦士 Legend of Kolovrat』(2018年、露、イヴァン・シャーコヴェツキー監督) 日本でのキャッチコピーは「1人VS15万人 伝説の戦いを描く瞬殺ソードアクション!」。「悪逆非道な暴君として知られる」(そうなん ⁉︎ )バトゥ・ハンが多分ラスボスと目される。故HIDE氏のような何の意味かわからん含み笑いで映画の序盤で雰囲気を盛り上げる。しかし、主人公のルーシの隊長の温かい家庭がルーシの都市リャザンまるごと核爆弾でも落ちたかのように破壊しつくされるというトラウマ展開。最初から虚無的な雰囲気を漂わしてる主人公(ロシアではこういう根暗無口な感じがモテるのか)はいったいこの先何のために戦うのか全く解せず、観るのをやめる。 『戦神 ゴッド・オブ・ウォー 蕩寇風雲』(2017年、中港合作、陳嘉上監督) のっけから「倭寇はじつは漢民族なのだ」というナレーションから入って「おおっ」てなる。倭寇の王直は囚われてしまっている時代、王直の子や手下たち+日本の浪人集団+密かに明国に足がかりを築こうとする平戸の松浦家のサムライ衆からなる「倭寇」が台州あたりを襲う。それに対抗する柳葉敏郎風ヒロユキ系の顔をした明軍の名将戚継光が主人公。CGとか使わない上、ワイヤーも使い過ぎないほどほどのアクションがなんかリアルですごく見応えあった。皇帝が扇子持って空飛んできてチャンバラしたりせず、チャイナドレスでスクリュードライバーみたいな剣技をくり出したりはしないので、中世脳筋肉弾バトルを求める私的にこれは良作認定。映画のポスターがサモハンキンポー(いまはデブゴンとか言っちゃだめなのか)だからこれはどんなおふざけB級アクションなんだ、と思っていたらかれが演じる明の将軍兪大猷すごく良い!劇中の登場キャラ同士のタイマン戦績から総合的に判断すると個の戦いの技量は兪が最強、次が戚大人で、次が倉田保昭。しかし、倭寇のふりした松浦家の宿老倉田が老獪な戦略を展開して明軍を追い詰め、サモハンキンポーの兪は...

史学とは何か―移動都市―

  『移動都市 モータルエンジン』を観た。よくわからない最終兵器が使用された「60分戦争」で文明が滅んだすごく先(1000年くらい?)の未来の話。キャタピラーがついた巨大な戦車みたいな移動式都市「ロンドン」が他の小さい移動式都市を捕食しながら東へ向かう。滅んでしまった21世紀の古代文明に憧れを抱く史学科大学生の若者が主人公。「ロンドン」が走って逃げてる小さい都市をかき込むように内部に取り込んでスクラップにしてしまい、そこに住んでる人は奴隷にする。そのとき、失われた古代文明の貴重な機械(トースター)を主人公がスクラップの中から持って帰って移動都市内の「大英博物館」ぽいところに収めようとする。この移動式都市を捕食する際の揺れで収蔵する陶磁器が悲惨なことになったといっていたが、それはデイヴィッドコレクションのことか。あと古代アメリカ文明の遺産であるとしてミニオンズの像が大切に保管されている。ヒロインの父であり、「史学ギルド」長の考古学者のおじさんが古代文明のよくわからん最終兵器「メドゥーサ」を手に入れ、「ロンドン」の実権を掌握して、東方の高い壁に守られた移動しない都市シャングオ(まさかシーアンではあるまいな?)攻撃に向かう。そこからはおそらく突っ込みどころ満載のクライマックスが待ってるはずとワクワクするが、そこに至るあいだ、元人間だったロボットがかつて育ててあげたのにロボットになることを拒否して逃げたヒロイン(考古学者の娘)の一人を殺そうと暴走して追いかけてきて、そのヒロインが主人公に恋していることに動揺して人間の心に戻るも…という人情ドラマがあり、お腹いっぱいで寝てしまう。(2022年2月4日投稿より一部改訂) https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07RS5BYYS/ref=atv_dp_share_cu_r

映画を見ながら寝落ち―インフィニット―

今回は『インフィニットー無限の記憶ー』を途中まで観た。主人公はマット・デイモンが顔変わったのかと思っていたら別人だった(ニューキッズオンザブロックのバンダナの人の弟らしい)。選ばれし者である主人公たちは何回も転生していてその記憶が内臓とか細胞に残っている設定だが、なぜか人間から人間、男は男、女は女にしか転生しない。登場人物たちは初対面なのに「やあ、ポエニ戦争以来だな」とか「フランス革命の時お前はこう言ったよな」みたいなセリフを吐く。転生という設定だからか全体的にアジアン(日本)テイスト。個人的にツボだったのは、記憶を呼び覚ますという近未来的なカプセルが出てきたところ。その中に主人公が入ったら水位が上がってきて窒息して死にそうになり、走馬灯のように記憶が蘇るという超シンプルな仕掛け。一応死なない程度で止められるようにバイタル測定器がついてる。「死んだー」と思ってみんな半泣きになりながら急いで主人公をカプセルから引っ張りだしたら、しばらくして蘇生して前世の記憶が蘇る。そこに敵が襲来して、それまで強そうな雰囲気だった武闘派の加藤登紀子みたいなキャラがあっさり死ぬ。命軽いのか重いのか。あと、敵が襲来したとき、近未来的なカプセルがある部屋の扉とか急いで閉めるのにアレクサを使ってた。といったとこあたりで寝る。(2022年2月4日投稿より一部改訂) https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09R14X553/ref=atv_dp_share_cu_r

マジ卍はどういう時使うのか―アイアンスカイ―

『アイアンスカイ』(2012年公開芬独墺合作近未来SF超駄作)を見ていたら、月の裏側の秘密基地からナチス残党の宇宙戦艦が攻めてきて地球に隕石落としを仕掛けてくるのだが、戦艦についているカギ十字が国連のスクリーンに映し出され、インドが宇宙の平和利用決議に反しているのではないか、と指摘され国連インド代表が卍の指輪をつけていてそれをこっそり隠すという描写があった。(2022年2月2日投稿より) 前に途中で放棄した『アイアンスカイ』の残りを視聴する。「それはどうなんだろう」ていう描写が羅臼のイクラくらいてんこ盛りなのでコンプライアンス的に高評価しにくいのだが、悪ノリのスパイスが強すぎて感覚が麻痺してきたので、超駄作というのは撤回し、B級傑作あたりにしておきたい。(2022年2月7日投稿より) https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07JZJG7ZX/ref=atv_dp_share_cu_r
 2022年8月9日(火) 神奈川県高等学校教科研究会の歴史分科会高大連携講座 向正樹「東ユーラシアの経験―伝播のネットワークからみた大モンゴルの時代―」 発表レジュメ 短縮版(解答篇・文献目録なし) PDF 解答篇・文献目録 PDF ノーカット版 PDF 地図 PDF